2011年11月2日水曜日

私がスパイスティーを開発した理由

私がスパイスティーを開発した理由


きっかけはアメリカ人のヨガの先生のお宅でごちそうになったお茶でした。
セッションが終わるたび、お手製のスパイスティーを頂くのが楽しみでした。

セッション前に弱火にかけて煮出して淹れるスパイスのお茶は、頂く度に味が変わっていて、美味しい日もあれば、苦すぎる日もありましたが、飲んだ事のない不思議な味でした。大きな鍋の中を見せてもらうと、スライスした生姜やシナモンスティックと、いろんなスパイスがたっぷり入っていました。レシピを伺ったら、ブラックペパーやカルダモンが入っているけど、分量は毎回適当に、との事。
このお茶を飲んだ夜は手足の暖かさが続き、すぐに眠りにつけたことと、お通じが良くなってお腹がぺちゃんこになることが嬉しくて、毎日飲みたい、美味しいスパイスティーを作ってみたい、そう思いはじめました。

ヨギーティーというのが販売されていて、同じようなスパイスが入っていますが、紅茶も入っています。カフェインを抜きたいので紅茶は不要でした。
スパイスを単品で集めて、自分なりに分量を考えて煮出してみました。
何度もトライしているうちに、だんだんバランスの良い美味しいものが出来上がるようになって、友人やお客様からも美味しいと好評でした。
ただ、カルダモンの実を割る、ブラックペッパーを包丁でつぶす、生姜を刻むのが面倒なのと、煮出す時間が30分以上かかるので、飲みたい時にすぐというわけにはいかない事が難点でした。

そんな時、偶然にスリランカのアーユルベーダ施設、アーユピヤサのオーナー朝比奈さんに出会いました。スパイスと言えばスリランカというわけで20107月にスリランカで古典的なアーユルベーダについて本格的に学ぶ機会を頂きました。

スリランカでは予防医療に国をあげて取り組んでいて、アーユルベーダなど古来より伝承されてきた智慧が衰退してしまわぬように保護に努めているそう。そこでアーユルベーダの考え方、健康と食との関係を学びました。一度も農薬を使った事がないという汚れのない土地で作られた治療に使われる薬草や食物、スパイスの存在を知りました。スパイス専門の植物園にも行って、スパイスの原料になる木や植物の形を確認しました。スリランカで見たスパイスは形や色もキレイでした。
きちんと粒の形が揃ったカルダモンの美しい黄緑色。日本で手に入る物の倍の長さなのに手で簡単に折れる堅くないシナモンスティック。丸くふっくらしている瑞々しいクローブ。ブラックペパーなど、東京の高級スーパーや専門店などで購入していたものとは、全然違う美しい姿を見て感激しました。


これでお茶を作ったら絶対美味しいに違いないと思い、スパイス植物園の売店で、必要なスパイスを入手しました。そして宿泊先のアーユルベーダ施設の厨房を借りて作ってみました。

香りの立ち方が全然違いました。感動の美味しさでした。
カップを近づけるとふんわり立ち上る、カルダモンの高貴な香りとシナモンの甘さ。
お茶が喉を通る時のジンジャーとブラックペパーのピリっとした感触と、
その後食道から胃にかけてジーンとくる熱さ。
口の中に感じるシナモンのほの甘さ。
1杯飲み終わる頃には指の先がホカホカしてくるのがわかりました。
頭から額にかけての毛穴がプツプツ開いて汗が出てくる感じがしました。

日本にはこれを必要としている冷え性の女性がたくさんいるはず!!
いちいち鍋で煮なくても手軽に飲めるスパイスティーを作ろう!
私が商品化を決めた瞬間でした。

帰国後はひたすらスパイスのブレンドに挑戦する日々を送りました。
スリランカから何度も様々な大きさに粉砕してもらった5種のスパイスを取り寄せて、それらを調合。粒子が大きすぎても小さすぎても味がうまく出ない。身体に良い物だから、いっそ粉茶みたいにして濾さずに全部飲んでみてはと、細粉化したのを飲んでみた事もありました。全然ダメでした。粉っぽくてむせてしまうし、美味しくありませんでした。

一番苦労した点は、短い浸出時間で味に深みを出すブレンド比率を探す事でした。
私が鍋で作っていた時は大量にスパイスを入れていて、30分煮るので深い味わいが表現できていました。それを手軽に飲めるようにするには、一回分が何グラムなのか?1~2分の短い蒸らし時間でどうやったら美味しい味になるだろう?
暇さえあれば秤で、カルダモン0.8g、ジンジャー0.6g、クローブ0.05gとか、お湯の温度は?とか、1.8g120秒置くとこの水色になるとか、3g90秒置くとこの味という具合に、文字通りスパイス実験漬けの毎日でした。

色んな人に試飲を繰り返してもらい、感想をもらいました。
うまく出来上がったレシピをスリランカに出して、ドキドキしながら商品を待つのですが、微妙に違う味になっていてがっかりする。やり直す。の繰り返し。
ここから先は長過ぎて思い出すのも気が遠くなるので省略しますが、
出来上がった時は本当に嬉しかったです。

こうして出来上がったものが今日から発売するスパイスティーです。
20107月にスリランカで商品化を決めてから15ヶ月。
スリランカの洪水でシナモン畑が流されてしまい、頓挫しそうになったこともありました。時が満ちるのを待つ事が、スリランカとのやりとりのルール。
わかっていてもドキドキハラハラ、私にとって本当にスパイシーな毎日でした。

スパイスティーの出来上がりは、直接試していただきたいと思います。
熱いお湯を注いで、1〜2分浸出させて召し上がってください。
認証は取っていませんが、スリランカのオーガニックスパイスを使用しています。
原料は信頼できる朝比奈さんから供給してもらっています。香りづけなどもしておりません。また、紅茶を入れていないので、カフェインフリーです。寝る前にも、妊婦さんにも安心して飲んでいただけます。お料理にもそのまま使えます。
ポトフなどスープや煮込みにそのまま、お肉やお魚を焼く時にそのまま振りかけてお使いになることも出来ます。深みのあるお味になりますよ!
冬の温め対策に今からどうぞ!

長い文章、読んでくださった皆様方に心からお礼を申し上げます。